蒸気配管の種類とスチームトラップの選定方法 | 蒸気ボイラー販売の昭和工業ボイラー販売株式会社公式サイト

蒸気配管システムを最適化することで、年間数万円から数十万円以上のコスト削減が可能になるのをご存知でしょうか？蒸気は産業界の重要なエネルギー源です。適切な配管設計と機器に応じたスチームトラップの選定が不可欠です。

例えば、わずか2mmの小穴からの蒸気漏れで、年間47万円以上のロスが発生する可能性があります。蒸気配管の設計施工と適切なスチームトラップの選定は、システム全体の性能を左右する重要な要素です。

初心者の方からベテランの技術者の方まで、幅広い読者の皆様に役立つ情報をお届けしていきます。

主なポイント

• 蒸気配管の種類と特性
• スチームトラップの選定基準
• 蒸気漏れによるコスト損失の実態
• 配管システムの設計ポイント
• スチームハンマー対策の重要性

蒸気輸送システムの基礎知識

蒸気輸送システムは産業で大切な役割を果たしています。効率的な運用と安全性を保つためには、このシステムの構造と原理を理解することが重要です。ここでは、その基本的な知識を説明します。

蒸気システムの優位性と安全性・環境性

蒸気を熱源や動力源として使用することは、安全性と環境保護に大きく貢献します。蒸気ボイラーから距離が離れた場所へでも安定したエネルギーを移送できるシステムは蒸気の他には存在しません。各工程の各場所に燃焼機器を設置するということは安全面や設備コスト面で大きな損出が考えられます。遠方まで効率的にエネルギーを運ぶことができる蒸気はもともとが水で構成されていますので、環境性はもとより、その安全性と蒸気圧力に応じた安定した温度管理や動力管理に置いて優秀なエネルギーとして最大限の評価をされています

蒸気システムの重要性

蒸気輸送システムは、工業プラントや発電所で熱エネルギーの輸送や動力源として、とても重要です。高温高圧の蒸気を効率的に運ぶため、耐熱性や耐腐食性の高い配管が必要です。スチールやステンレス鋼が一般的に使われ、定期的な点検で漏れや劣化を防ぎます。

配管システムの基本構造

蒸気配管は、高温高圧に耐える特性が求められます。寸法や接続部の配置が重要で、特に接続部分は漏れのリスクが高いため、確実な工法が必要です。熱損失を低減するため、保温状態のチェックも重要です。最新の監視システムや自動制御装置の導入で、メンテナンス効率が向上します。

圧力と温度の関係性

蒸気の特性として蒸気圧力と温度が一定に否定するという特徴があります。この特性で多くの産業の緻密な温度管理に蒸気システムは貢献しています。その蒸気輸送システムでは、圧力と温度の管理が重要です。蒸気温度は常に100℃以上になりますので、その温度に耐える配管設備設計の必要があります。配管内部の圧力や温度の変化が配管の寿命や効率に大きく影響します。流体力学や熱力学の知識を活かした適切な設計が不可欠です。最新技術の導入で、これらのパラメーターの監視・管理が効率化され、運用コストの削減や環境負荷の軽減が期待されます。

蒸気配管の主要な種類と特徴

蒸気配管システムには、さまざまな種類の管が使われています。各種の管は、特性が異なり、用途に合わせて選ぶことが大切です。ここでは、3つの主要な管について説明します。

SGP管の特性と用途

SGP管は、一般的な蒸気配管システムでよく使われます。1MPaG以下の圧力で使えるのが特徴です。耐圧性と耐温性が高く、多くの工場で使われています。

SGP管は比較的安価で扱いやすいので、中低圧のシステムでよく使われます。

STPG管の高圧環境での活用

STPG管は、高圧の蒸気配管システムに適しています。大きな特徴は、スケジュール番号によって肉厚が異なることです。

例えば、化学プラントでは、スケジュール番号の大きいSTPG管が選ばれます。STPG管は、厳しい条件でも安定した性能を保ちます。

ステンレス鋼管の活用と利点

ステンレス鋼管は、優れた耐食性で知られています。特に、衛生面が重要な食品製造工場などの場所で使われるようになっています。

ステンレス鋼管は、耐久性が高く、長期間使用しても性能が低下しないのが利点です。初期投資は高めですが、長期的にはコスト効率が良いです。

配管種類	主な特性	適した用途
SGP管	耐圧性、耐温性に優れる	1MPaG以下の一般的な蒸気配管
STPG管	高圧環境に適する、肉厚が選択可能	化学プラントなどの高圧蒸気配管
ステンレス鋼管	優れた耐食性、衛生面で優位	食品・製薬工場、還水系統

配管材料の選定基準

蒸気配管システムの性能と寿命は、配管材料によって大きく左右されます。適切な材料を選ぶことで、安全で効率的なシステムが作れます。主要な基準は耐圧性、耐温性、耐食性です。

配管材料	耐圧性	耐温性	耐食性	主な用途
炭素鋼（SGP管）	高	中	低	一般的な蒸気配管
STPG管	非常に高	高	中	高圧蒸気配管
ステンレス鋼管	高	高	高	腐食性環境、食品工場
低温用炭素鋼	高	低温対応	中	低温環境での使用

配管材料の選定は、基準を総合的に評価することが重要です。適切な材料を選ぶことで、コスト削減や性能維持に繋がります。専門知識を持つ技術者による定期的な点検が必要です。

蒸気配管システムの設計ポイント

蒸気配管システムは、工場や発電所で大切な役割を果たします。適切な設計で、エネルギー効率を上げたり、運転コストを下げることができます。ここでは、設計の重要なポイントを説明します。

圧力損失の計算方法

圧力損失の計算は、配管設計の基礎です。蒸気が配管を流れると、摩擦や曲がりで圧力が下がります。正確な計算で、適切な配管径や機器を選べます。計算には、流量や配管の長さなどが関係します。

熱膨張への対応策

蒸気配管は高温で使われるため、熱膨張対策が必要です。エキスパンションジョイントや配管レイアウトの工夫が有効です。例えば、長い直線にU字型のループを加えることで、熱膨張を吸収できます。これで、配管の歪みや破損を防ぎ、システムの信頼性を高めます。

配管径の適切な選択

配管径の選び方は、システムの性能と経済性に影響します。配管口径が小さすぎると、圧力損失が増えます。必要以上に大きな口径は初期コストや運用コストが上がり、凝縮水の滞留も起こりえます。適切な径を選ぶには、蒸気流量や許容圧力損失、経済性を考慮する必要があります。設計の基本としては高圧の蒸気を口径の小さな配管で運ぶことが良いとされていますが、蒸気ボイラーの種類や圧力の設定、蒸気を使用する機器の詳細に応じて蒸気配管の設計をすることが最も重要となります

基本的な蒸気配管設計と施工

蒸気配管の設計施工において最も重要なことは、配管内部にドレン（凝縮水分）を滞留させない事が基本となります。そのためには蒸気配管は高い位置から低い位置へと水の流れのように設計施工をしなくてはなりません。また、各機器への蒸気供給に関してはメイン配管の上側から枝管をとり、凝縮したドレンが機器に入らないように施工することが基本となっています。配管途中で低い位置（ローポイント）から高い位置に配管をしなくてはならないときは、スチームトラップを使用してドレン抜きをします。蒸気配管内のドレンが蒸気効率や配管の保守に大きな影響を及ぼしますので、蒸気配管設計施工で最も需要なポイントの一つになります

設計ポイント	重要性	対策
圧力損失	システム効率に直結	正確な計算と適切な機器選定
熱膨張	配管の安全性確保	エキスパンションジョイント、U字ループ設置
配管径	性能と経済性のバランス	流量、圧力損失、コストを考慮した選択

これらのポイントの一つ一つを理解することで、効率的で安全な蒸気配管システムを設計できます。専門知識のある技術者による設計と定期的な点検・メンテナンスをすることが、長期的な製造製品の品質安定とコスト削減、安全性向上が可能になります。

スチームトラップの基本機能

スチームトラップは蒸気システムでとても重要な役割を果たします。基本的な機能は3つあります。これらは効率的な蒸気利用に不可欠です。

第一に、スチームトラップはドレンを的確に速く排出します。ドレンは蒸気が冷えて水になる部分です。効率よく除去することで、システムの安定性能を保ちます。

第二に、蒸気の漏れを防ぎます。有効な蒸気をシステム内に圧力保持をし、凝縮した水分のみを機器から排出することで安定した性能維持と燃焼エネルギーを節約します。

スチームトラップには各種類があります。

①サーモスタッド式、温調式は蒸気とドレンの温度差を感知して作動します。スチームトラップ内部にサーモメタルやガス封入カプセルを使用しますので、エネルギー効率が高い反面、高圧蒸気の衝撃に弱い弱点があります

②メカニカル式にはフロートやバケット式と言われる機械的な機構で、熱交換によって大量のドレンが発生する機器に効果的です。機械式は構造がシンプルですので安定性は高いですが蒸気の衝撃には弱い特徴があります。内部にドレンを貯めてから排出しますので冬場の寒冷地では使用が難しいです

③ディスク式はメタルを使用した幾何学的構造がシンプルで高圧の蒸気を使用する機器において耐久性があり小型で、蒸気の衝撃に最も強いことから管末にもよく使われます。

④オリフィス式は使用機器のドレン発生量とオリフィス口径を一致させることで最もロスが無く半永久的な耐久性があることから選ばれることがありますが、適正なドレン発生量と一致しない場合にエネルギーロスや製造の安定性にかけるという難しい特徴があります

スチームトラップを選ぶ時、ドレンの必要排出量の計算が大切です。スタートアップ時と運転時のドレン発生量を基にします。安全率は連続運転で1.5、断続運転で3を推奨します。

各機器においての適切なスチームトラップの選択と管理で、効率的で安全な蒸気システムが実現します。

配管接続方法と施工技術

蒸気システムの安全性と信頼性は、配管接続方法と施工技術に大きく左右されます。適切な方法を選び、正しい技術で施工することが重要です。これにより、長期間安定した運用が可能になります。

フランジ接続の特徴

フランジ接続は取り外しやすく、保守性が高いです。高温高圧の蒸気配管では、金属ガスケットを使い、トルクレンチで締め付けましょう。ネックフランジは高圧高温に適しており、適切なガスケットの選択と締め付け管理が大切です。フランジは外径が大きくなりますので適正な保温も大切になります

溶接接続の留意点

溶接接続は気密性が高く、熱による変形や応力集中に注意が必要です。異種金属や厚肉配管の溶接では、専門的な技術と適切な溶接条件が求められます。JIS規格に基づく6種類の溶接継手規格があり、圧力や材質に応じて選べます。

配管支持サポートの設置基準

配管サポートは配管の重量を支え、熱膨張による応力を吸収します。設置間隔や方法は、配管径や材質、流体温度に応じて決めましょう。長い水平配管では、スライドタイプのサポートで熱膨張を吸収します。

接続方法	特徴	適用例
フランジ接続	取り外し容易、保守性良好	高温高圧蒸気配管
溶接接続	気密性優れる、応力集中に注意	異種金属配管、厚肉配管
配管サポート	重量支持、熱膨張吸収	長い水平配管

適切な配管接続方法と施工技術を選び、実施することで、蒸気システムの安全性と効率性が向上します。専門知識と経験を持つ技術者による施工が、システムの長期的な信頼性を保つ鍵となります。

蒸気システムのメンテナンス方法

蒸気システムを効率的に使うためには、メンテナンスが大切です。日常、定期的な点検、予防保全を合わせることが重要です。これにより、システムの長期的な効率と安全性が保たれます。

配管設計の問題によるドレンの滞留によって発生するスチームハンマー（ウォーターハンマー）に対する対策も大事です。配管内の蒸気が液体化し、ドレンが発生することがあります。これは寒暖差の大きい地域や朝、冬に特に注意が必要です。ウォーターハンマーの速度はピストルの玉よりも速いとされています。水激とも言われ配管の接続部分や曲がり部分の破壊に繋がります。季節によるものという認識ではなく。水激が怒らない配管設計が重要となります

適切な保温材の使用が保守メンテナンスの一環として効果的です。適切な保温は放熱を最小限に押さえる事で配管内部に発生するドレンの量を少なくするだけでなく、蒸気ボイラーの燃料消費も抑える事が可能となります。保温材の材質もグラスウールの他にロックウールも使われ厚みの種類も豊富です。保温性が高いことはランニングコスト削減と蒸気配管の保守に役立ちます

スチームトラップの適切な設置や電動弁の導入も重要です。これらはスチームハンマーのリスクを減らすためです。

配管の錆び対策も重要です。炭素鋼管は蒸気用途でよく使われますが、錆びやすいです。水抜き用バルブの設置や配管内の水の除去が推奨されます。

長期停止時の水質調整や薬剤添加、スタートアップ時のブロー作業も必要です。これらの方法を適切に実施することで、蒸気システムの効率と寿命が向上します。

FAQ

蒸気配管システムの主な種類は何ですか？

主な種類はSGP管、STPG管、ステンレス鋼管です。SGP管は低圧用で一般的です。STPG管は高圧用に適しています。

ステンレス鋼管は耐食性が高く、衛生面が重要な場所で使われます。

配管材料の選定基準には何がありますか？

選定基準は耐圧性、耐温性、耐食性です。設置環境や使用条件も考慮する必要があります。

高圧ではSTPG管が適しています。還水系統ではステンレス鋼管が選ばれます。

スチームトラップの基本機能は何ですか？

基本機能は3つです。1つ目は凝縮水の排出。2つ目は蒸気漏れ防止。3つ目は空気や不凝縮性ガスの排出。

これらにより、システムの効率が維持され、エネルギー損失が最小化されます。

蒸気配管システムの設計で重要なポイントは何ですか？

設計で重要なポイントは4つです。1つ目は圧力損失の計算。2つ目は熱膨張への対応。3つ目は適切な配管口径の選択。4つ目は適切な配管設計です

圧力損失を計算することで、適切な配管径が選べます。熱膨張にはエキスパンションジョイントが必要です。

配管口径の選択では、蒸気流量や許容圧力損失を考慮する必要があります。

配管接続方法にはどのような種類がありますか？

主な方法はネジ接続、フランジ接続と溶接接続です。ネジ接続は施工性の高さとメンテナンス性、フランジ接続は取り外しやすく、保守性が高いです。

溶接接続は気密性が高く、熱による変形に注意が必要です。配管サポートの設置も重要です。

蒸気システムのメンテナンス方法には何がありますか？

メンテナンス方法は日常点検、定期点検、予防保全に分けられます。日常点検では目視や簡単な測定を行います。

定期点検では詳細な検査や調整を行います。予防保全では、部品の交換や設備の更新を計画的に行います。

これらを実施することで、システムの効率と安全性を長期にわたって保つことができます。